多くの介護職員が経験のある、利用者側からの不適切な対応。サービスをする側も受ける側も対等である。
2021/12/27
最終更新日:2021/12/27
職員が被害に遭うケースも

近年、介護現場では介護サービス提供に影響を与えるような、利用者様やご家族様などによる介護職員への不適切な対応も問題となっています。あってはならないことですが、そのようなことが重なってくると虐待になる可能性もあります。
(身体的暴力)
・コップを投げつけられる
・叩かれる
・唾を吐かれる
・蹴られる
・手をひっかく、抓られる
・服を引きちぎられる
・手を払いのけられる
・首を絞められる
(精神的暴力)
・大声で怒鳴られる
・好きな職員以外には批判的な態度や行動をする
・刃物を持ち出す
・予定通りの送迎が出来ないときは謝罪要求する
・本人や家族が理不尽なサービスを要求する
・介護保険料が高い、利用料が高いと言い文句を言う
・利用者様家族の食事などの世話もさせる
・利用料を払わない。現金支払いを要求し、床に落としたお金を拾わせる
(セクシャルハラスメント)
・必要もなく手や腕を触る
・抱きしめる
・卑猥な言動を繰り返す
・異性の裸の写真などを見せる
・接吻を求める
・介護サービスとは無関係に下半身を見せたり触らせる
・職員のジャージなど衣服を着る
上記のようなことがあると、職員も利用者様やご家族様と良好な関係を継続したいが、心や身体に精神的や肉体的苦痛を負ってしまい、介護サービスをしたくても出来なくなります。利用者様との心の距離も遠くなるので、それが介護ミスに繋がることもあるでしょう。または、介護の仕事が嫌になり辞めてしまうこともあります。
利用者様やご家族様などによる介護職員への不適切な対応や行動は介護職員への影響だけでなく、利用者様自身の介護サービス利用の支障にも繋がることもあります。
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多くの介護職員が経験している

私も上記の(身体的暴力)は全て経験しました。多分ほとんどの方が体験したでしょう。メガネをしている職員がメガネを何度も飛ばされるので、曲がったままのメガネの職員もいました。衣服の着脱や入浴介助中、排泄介助中などもあります。ですが途中で介助を止めると転倒の危険もあるので、声掛けしながら介護を継続します。利用者様は何事もなかったように時間が経てば笑顔で話されることもよくあることです。
特に女性は大声で怒鳴られると怖いと思います。特に男性利用者様に言われたら、なおさらでしょう。手がすくんでしまい、結果、いつものようなトランスができない⇒転倒してしまう。こともあると思います。
女性職員は男性利用者様に胸を揉まれたり、顔を胸に擦り付けたりされた経験もあるかもしれません。そのようなときは必ず、上司に報告しましょう。上司も状況を適切に把握し、冷静に判断し必要あれば適正な対応が必要でしょう。
利用者様と介護サービス提供者は対等な関係

私がケアマネジャーとして、デイサービス女性管理者からクレームを経験しました。「Aさん(男性利用者)がトイレなど二人きりになるとき、車椅子からの移乗介護中に顔を胸に埋めてくる。そのような相談を若い女性スタッフ数名から報告を受けたので、女性管理者がAさんに、〇〇職員や△△職員から、そのようなことが相談あったのですが・・・」とお話しました。
個室で面談すると、Aさんは「バレちゃったか。2回までならセーフだと思ってしました」と回答されたとのこと。報告を受けた私は直ぐにAさん宅に訪問しAさんと二人きりの時に上記の真偽を確かめたところ、「今度はバレないようにするよ」と言われたので、「それは間違ってます。職員の気持ちを考えたことありますか?Aさんなら、やっていいこと、悪いことは判断できるはずです。二度とやらないでください。」と、厳重に注意させていただきました。私も利用者様に対してそのような言葉や態度をすることはないので、状況を察し反省したAさんは「二度と同じようなことはしない」と約束して頂きました。
デイサービスへ行き、ケアマネジャーとして謝罪させていただき、「本人が二度としないと誓いました。必ずしないと約束したので、どうにかどうにか継続利用させてください」とお詫びして、Aさんがそのデイサービスを利用するときはなるべく訪問し、細かく観察をするようにしました。
デイサービス管理者からもAさんに「次に同じことをしたら、職員を守るためにも、ご利用を中止させていただきます。また直ぐにケアマネジャーへ報告します」と厳重注意していただきました。その結果、幸いにも二度と同じことは起きませんでした。
このケースは改善が直ぐに図られ、職員も安心し継続して働けたので良い結果となりましたが、現実は稀なことだと思います。同じことを繰り返す利用者様はやはりいます。そのようなハラスメントを何度もされたら、介護が嫌になる方はやはりいます。
利用する側(利用者様)とサービスを提供する側(介護サービス提供者・事業所)はどちらが上ということはありません。対等な関係であると常に互いが意識しなければなりません。
これを忘れては、良い介護は出来ません。また、悲惨なことが起きてしまうこともあります。
この記事を書いた人

加藤 英明
介護福祉士/主任介護支援専門員
社会福祉法人熊谷福祉の里にて、特別養護老人ホームクイーンズビラ桶川副施設長として従事する。介護講師や地域福祉団体『埼玉県央ケア協会』の共同代表として、県央地域を中心に地域福祉向上のため活動中
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