現場職員同士の良い人間関係を築くには?ご利用者やご家族様との良い人間関係作りをするためには?
2022/01/05
最終更新日:2022/01/05
介護で仕事をするには一人では限界があり、必ず仲間の力が必要となります。同じ介護職員として働く者もいれば、事務、管理者、他にも医師や看護師、栄養士、リハビリ職、掃除・ドライバー担当など様々な方がいます。多職種(他職種)連携して関わることで「利用者様、入居者様、ご家族様」のニーズに対応出来、要介護者の生活を支え、さらに活動を向上し、出来ることを増やすことでいろんな参加に繋がる。それが私達の仕事になります。
![介護士と利用者](https://www.yumexia-job.com/wp-content/uploads/2021/12/22673406_m-1024x683.jpg)
介護職の退職理由のトップは・・・
公益財団法人 介護労働安定センター(平成28年度「介護労働実態調査」)では、介護関係の仕事をやめた理由 「職場の人間関係に問題があったため」が 23.9%(前年度25.4%)とトップでした。やはり人間関係が問題で職場を辞めるケースは今でも多いです。
人は一人では生きていけない
心理学者アルフレットアドラー(アドラー心理学)は、以下のように説いています。
「われわれは誰も人類のただ一人の成員ではないということである。われわれのまわりには他者がいる。そしてわれわれは他者と結びついて生きている。人間は、個人としては弱く限界があるので、一人では自分の目標を達成することはできない。
そこで、人は、弱さ、欠点、限界のために、いつも他者と結びついているのである。自分自身の幸福と人類の幸福のためにもっとも貢献するのは共同体感覚である。」
『人生の意味の心理学(上)』A・アドラー著
私なりに解釈すると一人では何事もできない。それだから周りに仲間がいる。仲間とは互いに助け合うことで、目標を達成できる組織である。人は誰でも弱さや欠点はあるもの。一人で出来る限界はもちろんある。だが仲間の力を合わせることで出来ることの幅が広がる。仲間で活動することは自分の幸せと仲間の幸せに繋がり幸せを伝播することができる。
あなたにぴったりのお仕事探しはプロに相談してみよう
![看護師](https://www.yumexia-job.com/wp-content/uploads/2021/11/gettyimages-1298504343-612x612-1.jpeg)
転職サイトでは、新しい転職先や働き方など、コンサルタントが無料で提案してくれます。今の職場が自分に合わないと悩んでいるのであれば、まずは相談してみるのがおすすめです。
介護は一人ではできない。仲間が必ず必要
例)ホームヘルパー:ご利用者様宅で介護を行う場合、一人で複数日を介護するよりは曜日や時間を分けて複数のスタッフで仕事をするほうが効率よいです。
例)施設介護職:常時介護が必要な要介護高齢者を介護するのでシフト勤務で介護となります。
※介護とは常時であり期間も無いので一人ではできません。仲間と連携し情報共有し誰もが同一介護することが大切となります。
相手を理解し認めることをしていますか
![](https://www.yumexia-job.com/wp-content/uploads/2021/12/4944708_m-1024x683.jpg)
人とは「個」があります。人は誰もがオンリーワンの存在であり、生まれてから現在に生きるまでに様々な人生経験をされているのです。まずはそれを理解し認めることです。職員皆様の相談を受けるとき、「Aさんは私の指示に従わない。だから協力することはできない。」「Bさんはいつも自分勝手に介護する。だから私も勝手にします」など似たような悩みや想いをされている方がいると思います。でもそれこそが自分勝手になっていませんか?簡単なことではないですが、出来る限り相手を理解し認めることができればそのようなことは無くなるかもしれません。
今年11月に99歳でお亡くなりなられた瀬戸内寂聴さんはとても素晴らしい言葉をたくさん残されています。その中の一つです。
【瀬戸内寂聴「今日を生きるための言葉」】第1694回
人間は互いに許し許されて生きています。自分のことも、相手が随分と我慢してくれているのだと考えてみましょう。
現場職員同士の良い人間関係を築くには
良い人間関係を築くには「相手を理解すること」そして「相手を認めること」です。まずはそこからになります。理解し認めることが出来れば仲間になり信頼できます。これはコミュニケーションの基本であり、心のキャッチボールが成立したことになります。
いつも私が職員にお話しさせていただくことがあります。それは「どんなことがあっても第一優先に考えるのは利用者様、入居者様、そしてご家族様のこと」です。そこを忘れてしまっては先に進みません。また、それが解っているなら「目指すゴールは同じ」なので、方法はいろいろありますが、きっと解り合えるはずであり、解り合わなくてはなりません。
「個」が違い、互いに生活があります。いろんな考えもあって「当たり前」です。それを常に認めろとはいいません。ですが、一切認めないのは自分を認めていない事と同じではないでしょうか。互いに介護が必要な高齢者を想う気持ちは同じはず。互いに歩み寄ることが必要です。「オムツ介助ができていない、食事介助がダメ、リネン交換が遅すぎる、見守り出来てなくて任せられないなどなど」職員同士の職場における言い分は同じようなことが多いです。ですが、100%ミスがない人はいないはずです。ヒヤリハットや事故報告を書いたことが無い方は本当に常に安心安全な介護が出来ているのでしょうか。相手に寛容であることは自分にも寛容であり、そこから人としての優しさや余裕が生まれてくるものです。
「介護は個で行うものではありません。チームで行うものです。」それは介護を必要とする高齢者が求めることに繋がると考え行動しましょう。
![TEAM](https://www.yumexia-job.com/wp-content/uploads/2021/12/10001338_m-1024x683.jpg)
ご利用者やご家族様との良い人間関係作りをするためには?
例えば、夫婦で住まれていて、奥様が介護者、ご主人が要介護者としましょう。そのご主人がデイサービスをご利用され、送迎時奥様がいるのに迎えや送りに一切協力してくれないケースがあったとしましょう。読者が介護職ならどう思うでしょうか?
もしかしたら、「夫婦関係が悪い家庭だな。なぜ奥様は協力してくれないのか。夫が困っているなら協力すべきでしょ。」など考えるケースはよくあるのではないでしょうか。
確かにその場面だけを切り取ってみればそのように考えることはあると思います。ですが、その奥様と信頼関係が出来上がった後にご主人のことを聞けば、ご主人様への本当の気持ちを聞くことができます。もしかしたら、現在に至るまでにご主人が奥様に対してとても厳しい方であったために、介護へ前向きになれないこともよくあることです。ご利用者様はもちろん介護しますが、ご家族様への配慮も同じように大切となります。それが家族ケアになるのです。ご利用者様と毎日毎日朝から晩まで過ごしているのは「家族」です。接する時間も長く介護する時間も長いのです。
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介護とはゴールのないマラソンのようなものです。飛ばし過ぎては途中で疲れてしまいます。途中で休むことも大切です。その時に私達介護職が家族に代われば良いのです。ご利用者様同様にご家族の気持ちや立場、普段の頑張りをしっかり理解し、認め、応援しましょう。その気持ちが伝われば家族との関係も必ず良くなります。
ご利用者様、ご家族様にも「個」として、今までの人生があり、そして夫婦や家族として交わり、そこからの共同人生として歴史が始まります。とても楽しく幸せな共有人生もあればそうでないこともやはりあります。ご家族である以上、入院時や必要時に関わりを求めることはどうしてもあります。だからといって「夫婦だから・・・子供だから・・・介護するのは当たり前。何かあったら、対応するのが当たり前」と考えるだけで、ご家族様の気持ちを理解していなければ、良い関係が構築できません。
また、国としても高齢者が増えるこれからは家族ケアがとても重要な問題と考えており、なかでもヤングケアラーは大きな課題となっております。普段の業務を行う中で、現場職員と良好な関係を築き、また、ご利用者様ご家族様と良い関係づくりをすることが自らの仕事の遣り甲斐に繋がると考えて行動しましょう。
この記事を書いた人
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加藤 英明
介護福祉士・主任介護支援専門員
社会福祉法人熊谷福祉の里にて、特別養護老人ホームクイーンズビラ桶川副施設長として従事する。介護講師や地域福祉団体『埼玉県央ケア協会』の共同代表として、県央地域を中心に地域福祉向上のため活動中
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