介護職の給料は今後どうなる?2024年以降の賃上げとキャリアアップ方法を徹底解説
2025/02/01
最終更新日:2025/02/01
「介護職の給料は、今後どうなるのだろう」と、気になっていませんか?
2024年度の介護報酬改定や政府の施策により、介護職の給料は確実に変化を迎えています。給料アップのチャンスが広がる一方で、自身のキャリア設計や職場選びによって、その恩恵をどれだけ受けられるかが大きく変わるでしょう。
本記事では、今後の給料の動向やあなたの給料を上げる具体的な方法について解説します。
記事を参考に、より良いキャリアを目指すための第一歩を踏み出しましょう。
介護職員の給料は今後も上がる!
介護職の給料は、2025年以降も上昇傾向が続くと予測されています。
2025年には、団塊の世代が75歳以上となります。必要な介護職員数は約243万人と推計されており、2021年と比べるとおよそ32万人の介護職員が新たに必要です。
それゆえ、政府は何年も前から介護職員を確保するため、介護職員の給料アップに尽力しているのです。
実際過去の実績を見ると、介護職員の平均給与は過去10年間で約13%上昇しています。さらに、介護職員不足は今後もつづくと予想されているため、政府による介護人材確保の動きは、今後も継続すると考えられます。
参考:厚生労働省「介護職員の処遇改善」
2024年度の介護報酬改定の中身
2024年度の介護報酬改定では、介護職の処遇や施設運営に影響を与える重要な変更が行われました。
とくに「処遇改善加算の一本化」や「加算率の変更」といった、具体的な項目が注目されています。
以下では、それぞれの変更点について詳しく解説していきます。
処遇改善加算の一本化
2024年の介護報酬改定では、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算をまとめて一つの加算になりました。
これまでは3つの加算を算定するために多くの書類を作成しなけらばならず、事業所に大きな負担をかけていました。
そのため加算の要件を満たしていても、加算を算定するための準備に手が回らず、加算をあきらめる事業所もあったようです。
今回の処遇改善加算の一本化で必要な事務の負担が減り、より多くの事業所が加算を算定すると見込まれています。その結果、多くの介護職員が給料アップすると期待されます。
加算率の変更
処遇改善加算を一つにまとめたことで、加算率も大幅にアップしました。新加算はⅠ〜Ⅳの4つに区分されています。
詳しい加算率は、以下の表で確認してください。
サービス区分 | 介護職員等処遇改善加算 | |||
---|---|---|---|---|
I | II | III | IV | |
訪問介護・夜間対応型訪問介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 24.5% | 22.4% | 18.2% | 14.5% |
訪問入浴介護 | 10.0% | 9.4% | 7.9% | 6.3% |
通所介護・地域密着型通所介護 | 9.2% | 9.0% | 8.0% | 6.4% |
通所リハビリテーション | 8.6% | 8.3% | 6.6% | 5.3% |
特定施設入居者生活介護 地域密着型特定施設入居者生活介護 |
12.8% | 12.2% | 11.0% | 8.8% |
認知症対応型通所介護 | 18.1% | 17.4% | 15.0% | 12.2% |
小規模多機能型居宅介護 看護小規模多機能型居宅介護 |
14.9% | 14.6% | 13.4% | 10.6% |
認知症対応型共同生活介護 | 18.6% | 17.8% | 15.5% | 12.5% |
介護老人福祉施設 地域密着型介護老人福祉施設 短期入所生活介護 |
14.0% | 13.6% | 11.3% | 9.0% |
介護老人保健施設 短期入所療養介護(介護老人保健施設) |
7.5% | 7.1% | 5.4% | 4.4% |
介護医療院 短期入所療養介護(介護医療院) 短期入所療養介護(病院等) |
5.1% | 4.7% | 3.6% | 2.9% |
参考:厚生労働省「令和6年度 介護報酬改定における改定事項について」
介護職員の給料は低いのか?
政府は何年も前から介護職員の確保を目指し、待遇の改善に取り組んでいます。
厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、一般労働者の賃金は318,300円と報告されています。
一方、「令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」では、介護職員の賃金は263,600円です。
この十年で、介護職員の賃金は改善されてきています。しかし、依然としてほかの産業とは6万円近く低い賃金となっているため、まだまだ介護職員の給料は低い状況といえるでしょう。
参考:
厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査 結果の概要」
厚生労働省「賃金構造基本統計調査 / 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
介護は実情以上に給料が安いと思われている理由
介護職の給料は、ほかの産業と比べると確かに低い傾向です。しかし世間では、実際の給料の差以上に、給料が低いとのイメージを持たれているようです。
ここでは、なぜ介護職は実情よりも給料が低いと思われているのかを見ていきます。
⚫︎専門性が低い仕事という誤解があるから
⚫︎非正規雇用の従業員が多いから
⚫︎介護報酬に上限があるから
専門性が低い仕事という誤解があるから
介護の仕事は「誰でもできる仕事」という、誤った認識が根強く残っているため、給料は低いと思われています。
介護は利用者の状態を正しく判断し、多職種と連携しながら適切なケアを提供する能力が求められます。
しかし、介護は専門的な仕事という社会的認識が低く、なかなか正しい評価を得られていません。
介護の仕事に対する認識の低さが「介護は給料が低い」と、思われる原因の一つでしょう。
非正規雇用の従業員が多いから
介護職の給料が低いと見られるのは、非正規雇用の割合が高いことも理由でしょう。
介護業界では、約4割が非正規雇用者です。非正規雇用の従業員は、日勤帯のみの勤務や登録ヘルパーなど、柔軟な勤務形態を選択する従業員も多いため、給料の平均値が低い傾向にあります。
介護職の給料水準は正規雇用者に限れば、そこまで低くはありません。しかし、非正規雇用者の割合が高いことで、業界全体の平均給料が押し下げられているのが現状です。
そのため、介護職の給料を正確に理解するためには、雇用形態の違いを考慮する必要があると言えるでしょう。
介護報酬に上限があるから
介護保険制度では、サービスごとに介護報酬の上限が定められており、介護事業所が自由に料金を設定できません。
たとえば、特別養護老人ホームでは、入居者1人あたりの介護報酬が決められています。そのため、サービスの質を向上させたとしても収入アップにはつながりにくいのは確かです。
介護職員の給料を上げたくても、介護報酬内でやりくりするのは限界があるだろうとの考えが、介護職の給料は低いとのイメージにつながっているのかもしれません。
介護で給料をさらに上げる方法
介護職の給料アップには、キャリアアップと働き方の工夫が重要です。以下では、給料を上げる具体的な方法を紹介します。
⚫︎介護関連の資格を取得する
⚫︎夜勤の回数を増やす
⚫︎正社員になる
⚫︎管理職へキャリアアップする
⚫︎給料の高い職場へ転職する
介護関連の資格を取得する
介護関連の資格取得は、介護職として給料を上げるための有力な手段です。また、資格を取得すれば専門的な知識と技術が身に付くため、仕事の幅が広がるのも大きな利点です。
たとえば、介護福祉士やケアマネジャーの資格を取得すれば、資格手当が支給されるほか、業務の幅が広がり、責任あるポジションに就くチャンスも増えます。
専門的な知識を活かしてリーダーシップを発揮する場面も増えるでしょう。
実際に厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、無資格の介護職員と比較して、介護福祉士の資格を持つ職員は月収が約6万円ほど高いとされています。
給料をアップさせたい方は、ぜひ介護に関する資格取得を目指してください。
参考:厚生労働省「令和4年度 介護従事者処遇状況等調査結果」
夜勤の回数を増やす
夜勤には夜勤手当が付くため、回数を増やせば短期間で手っ取り早く収入を増やせるでしょう。
夜勤手当は施設によって異なりますが、1回の夜勤で数千円の手当が付きます。さらに夜勤専従として働けば、通常よりも多く手当が支給されるため、かなりの収入アップになるでしょう。
しかし、夜勤の回数を増やすことにはデメリットもあります。夜勤は身体に大きな負担がかかり、とくに生活リズムの乱れによる睡眠不足や疲労の蓄積が問題となります。
そのため、夜勤の回数を増やす際は自分の体力や健康状態と相談し、無理のない範囲で行いましょう。
正社員になる
正社員への転換も、給料アップに有効な方法です。正社員として働けば定期的な昇給やボーナスがあり、充実した福利厚生も期待できます。
正社員になれば安定した収入を得られるだけでなく、長期的なキャリアの構築にも繋がり、昇進や昇給の機会も増えるでしょう。
一方で正社員になれば、責任が増える側面もあります。当然フルタイムの勤務となり、パートやアルバイトに比べて業務量も増え、責任の重さも感じるでしょう。
それゆえ、休暇の取りにくさや、働く時間が長くなる可能性も考慮する必要があります。
正社員へ転換するかどうかは、自身のライフスタイルや業務量、責任の重さについていけるかどうかを考慮する必要があります。
管理職へキャリアアップする
管理職になれば基本給の上昇や役職手当の支給が期待でき、より安定した収入を得られるでしょう。
ただし、管理職へキャリアアップするためには、実務経験や介護の知識だけでなく、マネジメント能力も求められます。
管理職にはスタッフの指導や教育、施設の運営管理といった幅広い業務が含まれるため、リーダーシップやコミュニケーション能力も重要です。
多くのことを求められますが、管理職としての経験は介護業界内でのさらなるステップアップや、ほかの業界への転職にも有利となるでしょう。
給料の高い職場へ転職する
転職による給料アップは、介護職の収入を増やす即効性のある方法です。 とくに、規模の大きな法人や都市部の施設、夜勤手当の高い施設や処遇改善加算を積極的に活用している事業所を選べば、月収を数万円単位で上げられる可能性があります。
経験5年以上の介護福祉士であれば、給与400万円を超える求人も珍しくありません。
今の職場の給与に不満があるのなら、転職も選択肢の一つに入れてみてください。
あなたの給料は上がった?実感ないなら今後について考えよう
介護職の給料は法改正や制度改革の影響で改善が進んでいます。しかし、自身が働く施設でその恩恵を実感できていない場合、職場の運営方針や経営体制に課題がある可能性があります。
次項では「給料がアップしない施設の特徴」や「給料アップが期待できる施設か判断する方法」について、詳しく解説します。
給料がアップしない施設の特徴
職員の研修や評価制度が不明確な施設は、給料アップが期待できないかもしれません。
処遇改善加算はキャリアパス要件(任用要件や賃金体系の整備・研修の実施等)が求められます。そのため、キャリアパス要件を満たしていない施設は、加算を算定していない可能性があります。
処遇改善加算を算定していなければ、当然給料にも反映されないのです。
給料アップが期待できる施設か判断するには?
給料に大きく影響する処遇改善加算を取得しているかどうかは、必ず確認してください。
処遇改善加算は研修や評価制度を要件としているため、どのような研修や評価制度があるのかを確認しましょう。
直接加算の有無を聞くのも有効ですが、聞きづらいと感じる方は厚生労働省が提供する「介護サービス情報公表システム」を活用するのも、一つの手です。
介護サービス情報公表システムでは、施設が算定する加算を確認できます。また、離職率や具体的な職員の数などもわかるため、給料アップが期待できるか、働きやすい施設かどうかが分かります。
2024年の介護職の給料アップに関するよくある質問
2024年は、介護報酬改定を通じて介護業界全体に変化が期待される年でした。とくに、介護職の給料アップや待遇改善が大きな注目を集めていますが、具体的にどのような形で変化があるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
本章では、介護報酬改定に関するよくある質問についてお答えします。
介護の給料は2025年にどのくらいになりますか?
厚生労働省の「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計について」では「介護人材1人当たり月額1万2千円相当の賃金改善」を主要施策に挙げています。
1万2千円アップされるかどうかはわかりませんが、2025年以降も給料アップの傾向は続くとみていいでしょう。
パートやアルバイトの介護職員は賃上げされますか?
処遇改善加算は、介護職員すべてを対象にしています。パートやアルバイト、契約社員といった雇用形態であっても、給料アップされます。
6,000円の賃上げに加算分が追加されるのですか?
2024年の介護報酬改定で、6,000円アップの賃上げ施策は終了しました。6,000円の賃上げ施策は、2024年6月に介護報酬が行われるまで補助金として交付されてきたものです。
それゆえ、6,000円の賃上げの施策は、処遇改善加算の一本化により終了したと認識してください。
介護の給料は今後も上がる可能性が高い
介護職の給料は、2024年度の介護報酬改定や政府の政策により、上昇傾向が続いています。
とくに処遇改善加算の一本化による加算率の向上のように、介護職員の待遇改善に直結する改革が進んでいます。また、2025年以降も介護人材の需要増加が見込まれる中で、さらなる給料アップの可能性が高いでしょう。
ただし、職場ごとの状況や個人のキャリアの選択などが給料に影響を与えるため、資格取得やキャリアアップ、転職などを視野に入れることも重要です。
ぜひこの記事を参考に、今後のキャリアプランを見直し、より良い待遇を目指して行動を起こしてみてください!
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